我を忘れるまで、少なくともちょっと手放すまでやることでしかひらけないことがある。そうすることであっけないほどひらけるのにいつもなんだかんだ遠回りをしてしまう。何でかな。
遠くから来ている友だちと何かしらの展示を見ようと思ったのだが月曜はどこも閉まっている。ケ・ブランリもロダン美術館もアラブ研究所も閉まっていたので仕方がない、カフェにしよう、と思ったらお目当てのカフェにすら振られた。カナル沿いに別のカフェを見つけ入ると友だちは少し戸惑っていた。なぜならガラスにばっちり故意に割られた痕があり警察官が5人ほど立ち寄っていたから。あまり気に留めなくなっている自分に気づく。無神経になっているというよりは前より言葉が分かるようになったからだと思う。何かが起こっても対応できると思えるようになっているのかもしれない。
予報では降水確率0%だったのに激しく雨が降ってくる。水面やカフェのルーフを大粒の雨が叩いて、わたしたちは顔を寄せて声を大きくした。どうみてもルーフのない屋外に座ったままの人たちがいた。びしょ濡れのはずだけれど眼鏡を忘れたので見えない。だんだん体が冷えてきてもう一杯熱いショコラが飲みたかったけれど帰る時間になってしまった。
10つくらいの英単語で2時間話せるのはすごいと思った。また半年後に会えるね。その時か、またその次、今度は一緒に舞台をやろうと計画を立てる。一緒に舞台を作りたいと思える人がいるのはなんて幸せなことなんだ。久しく忘れていた。まだ何のアイデアもない。でも成り立つことだけは分かっている。