うちの庭の木のうんと高いところでクロウタドリが鳴くようになった。彼らは声が遠くまで美しく響く場所をよく知っている。どうやらおめがねにかなったらしい。
町が海に沈んでいるみたいに何もかもが青い夜の始まり。
まだ飛べぬ赤ちゃんの時から育てた鳥はメロディのあるうたを歌う種類の鳥で、子どもの頃にはよく練習をしていた。はじめは自信なさげに小さな声でよろよろと音階を外していたのに、外から聞こえる同じ鳥の声に耳を澄ましながら真似をして、いつのまにか堂々と高らかに歌えるようになった。小鳥は私のことをどう思っていたのか分からないけど片時も離れず肩に乗って過ごしていたので、耳元で高らかに鳴かれるのは困りものだったけれど。
毎日一緒にご飯を食べて、お風呂にも一緒に入って、追いかけっこやかくれんぼをして、怒られたり(私が寝坊すると廊下にプンプンで立ってる)からかわれたり、ものごとを伝え合おうとしたりして、その目で世界を見る日々だった。
あの小鳥と生活したから知った秘密がいっぱいある。