40. 埃

アマヤドリ
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『チク・タク…』と『イラク水滸伝』を続いて読み終え、はずみがついているうちにと軽めの一冊を読み、もう一冊にも手を出したところで、読み終えることが目的のようなことになっている気がして速度をゆるめる。また一冊読めた!と結果が出ることは楽しいけど、一文に惹きつけられたり迷ったりしてその周りをいつまでも離れられないような体験をこそしたいのであって、そうだとしたら次の本に手を出したりせず気にかかっているあの本のそばに立ち止まっておくべきじゃないのか。袖を引かれ続けながら、気持ちのいく分かを残したまま、大事なことを後回しにしている感覚が次の本を読む体を重たくさせている。

大事なことを後回しにしないの大事だな。大事なことをいったん保留にしておくことにも意味がなくはないけど、少し埃の積もったものに戻ることに労力を要するので(たくさん埃が積もったものには戻れるけど)新鮮なうちに取り組むのがいい。自分のすることにいちいち意味や成果を求めるのも、身軽じゃないからだろう。