そんなに多くのものに触れなくてもいいや、と去年のいつごろだったかに気持ちを新たにした気がするが、いつの間にかまたごちゃごちゃと中途半端につまんでは腹がふくれ動けなくなる、ようなことになっている。あちこちに気を散らせて余計な時間そこに佇む癖をやっと自覚したはずなのだが、気を抜くとすぐそこに戻ってしまう。
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自分のデフォルトのようなものを、私は随分見誤っていると思う。前はあんなに本を読めたのに、毎日欠かさず日記を書いていたのに、激務に耐える体力があったのに、稽古を何時間もしていたのに、…少し環境を変えれば、または少し努力をすればすぐさまそこに戻れるとどこかで考えている。なぜならつい最近までわたしはそうだったし、それこそがわたしにとっては普通の状態なのだから。
だけどよく思い返してみれば、そのような自分であったのは何年前のことなのか?そうでなくなってから何年経つ?そうでなくなってから生きている年月の方が長いのに「今はちょっとできないけどそのうちまたそこに戻れる」なんて、ただ自分を安心させたいだけ、騙しているだけだ。
高校時代にできた宙返りくらい、ばりばり働いてばりばり稽古していた自分は遠いのだ。前者はもう試す気さえ起きないのになぜ後者にはちょっとした気合いで戻れると思うのか?
何かを取り戻そうとするのはやめて(だってそんなの一度成功した舞台をなぞろうとするのと同じ)時間軸をいまに戻そう。