西を見てゴメンした

aming
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仕事用のスマホに着信があった。出てみると取引先の担当者だったので、おかしいな、彼のところには最近発注もしてないし納品の予定もないけどと思いながらも定型文のような挨拶をした。

すると彼は「Aさん、今日会社にいてはる?」と、他部者の営業マンの所在について聞いてきた。どうやら何度Aさんの携帯にかけても出ない、メールの返信もないと言うのだ。

今日はオフィスにはいないので、連絡するよう伝えておきますねと電話を切ろうとした時。

「最近の若い人は電話を怖がる言うし、ビックリしちゃったのかな」

「Aさんて人、ご存知?」

と、真面目なトーンで聞いてきたので、笑いながら「知ってますし、怖がらないから大丈夫だと思いますよ」と電話を切った。

切った後で、あれはボケだったのではないかと顎に手を当てて考えた。

短い会話の中でツッコむべきところがいくつもあった。Aさんは社内でもトップクラスのベテラン営業マン。若くもない(失礼)し、電話を怖がるわけがない。そして私がAさんを知らないわけがない。Aさん絡みの発注書を彼の元へメールしているのは私だ。

ひとっつもボケに気付かず、ただ笑って受け流してしまった。爆笑に近い笑いではあったけど。

多分向こうはコミュニケーションを求めていたのではないだろうか。そう思うと、電話を切る時のテンションが低かった気がする。ボケを流されて、しょんぼりしてしまったのではないか。Aさんも積極的にツッコむタイプの人間ではないので、たとえ電話が繋がったとしても宙に浮いたボケを眺めながら事務的な会話をするのではないだろうか。

お笑いの瞬発力がないせいでゴメン!と西の方向に謝って、Aさんには「すぐ電話してくれ。私の携帯に直接かかってくる。先週から2度目だ」と連絡した。

2度もボケを流してゴメン!けど3度目は勘弁してほしいからAさん絶対に対応してくれ!