学校に向かう途中、敵対するチーム?の罠にかかり飲んだ怪しい栄養ドリンクのせいで体調を崩し、ついに気を失ってしまう。
敵たちが、学校に作った隠し部屋に私を連れていくのがわかった。壁に寄りかかった状態で目を覚ますと、もう夜だった。隣に剣サー(※拡散性ミリオンアーサーのキャラクター)が同じような体勢で眠っていた。彼はすぐに目を覚まし、辺りを見回した。しかし、すぐ隣にいるはずの私に何故か気づかない。
ふと自分の手が見えないことに気づいた。どうやら透明になってしまったらしい。
声も届かないので困っていると、彼は立ち上がり走り出した。私は咄嗟に彼の手を掴んだ。こんなところに置いていかれるのは嫌だ。すると、彼はこちらをちらりと見た。接触はできるようだ。
彼が開いて差し出した手を、私はしっかりと握りなおした。
私たちは暗い廊下を小走りに抜け、渡り廊下に出た。彼は学校のことをよく知っているようだった。ひとまず屋外に出たことでほっとした私の視界の端に、何か黒いものがよぎった。
「嫌あああ」
黒いものは叫びながら近づいてきた。
「お願い殺さないでええ」
黒いものは、喪服のような黒いワンピースとベールを纏った老女だった。彼女は言葉と裏腹にニタニタと笑いながら私たちに手を差し伸べてくる。
「いやあああお願い殺さないでええ、いやあああお願い殺さないでえええ…」
ゲームのサウンドテストで同じボイスを何回も再生しているようだと思った。声がブレないのだ。彼は私の手を引いて老女と逆方向に走り出した。あれに触れたら何か良くないことが起こる、と私も感じた。しかし老女は一人ではなかった。
「いやあああお願い」
「お願い殺さないでえええ」
あちこちから同じ声が聞こえてきた。顔も服装もまったく同じ、黒い老女たちがこちらに向かってきていた。そしてやがて、私たちは追い詰められてしまった。