談笑をしていると、裕福な庶民のような服を着た姫が泣きながら駆け込んでくる。
「助けてちょうだい」
「どうなさったんですか姫……お嬢様」
「詐欺よ。詐欺にあったの」
姫をベッドに座らせて(私の部屋には椅子も壁もないのだ)、話を聞くと、ゲームをしようと誘われて賭博に興じていたところ、都合の悪い言葉を録音され、強請られたらしい。それは詐欺ではなく恐喝ではないのか。いや台詞を巧みに言わされたなら詐欺かも。そんなことはどうでもいい。
「それで、幾ら取られたんです」
「二百五十万よ」
私は暫し絶句した。
「……私の生涯収入と同じくらいです」
「え、そんなまさか」