プールで大規模レイド。
ロッカーが木っぽいものに飲み込まれ、携帯とか取り出せない。負けても良いが、負けるとロッカーの中身がロストする。怒号が飛び交うプールに放送が響く。なんとか言う人がスピーチをするらしい。友人が「ガチの人じゃん」と叫び走り出したので私はそれについていく。
前のほうに座れた。ガタイのいい、白髪に白い髭の、厳めしい男性だった。確かに、彼はカリスマのある人で、穏やかに笑いかけられると安心した。
いつの間にかプールは建物ごと変形していた。黒鍵と呼ばれる薪くらいのサイズの石なら誰でもダメージを喰らわせられると説明された。四本の足、屋上、内部のコアを殴り、活性化させ、建物と木を分離させなくてはいけないらしい。私は内部のコアを殴りに行くことにした。近くにスーパーがあって、そこで黒鍵を追加購入できる。コアは小さいので、スーパーで並びコアの前で並び疲労感が増す。
「"黒鍵"じゃなくてもいい、水とか、重たいもんなら何でもいいから殴れ殴れ!」
「どうしようどうしよう、あと120回は殴らないと、足はもう全部動くらしいんだけど中が動いてない」
「わかった、呼びかける。あんたは殴りに行って」
「君は笛をやっている?」
「ええ、少し」
四回殴る。えも言われぬピアノの音色。
「す、ストップ! みんな離れて。始まるよ……!」
木の幹が広がり水を飲み込んでいく。
「天辺、あと一撃足らない!」
「ペンチでいいかな!?」
「やるだけやれ!」
「新しいペンチ買ってもいーい?」
「チッ……使う時まで我慢しな」