私たちは魔法学校の卒業生で、学内を会場にした展示を見に来ている。クラスのまとめ役だった赤毛で眼鏡の男に呼び出され、私たちの教室に行く。
私たちが在籍していたクラスは特別で、かみのけ座がどうのこうので魔力が人より強い生徒が集められていた。10人もいないクラスだったが、最近は誰の近況も知らなかった。
みんなが思い思いの席に座ると赤毛は教卓に立った。
「僕たちはエリートだ」「蔑ろにされるのはおかしい」
彼が感情を昂らせると、教室はどんどん熱くなっていく。彼は炎の魔法使いで、使う炎は想いの強さに比例する。それが暴走か何かしているのだと思った。
「落ち着け!○○がいるからそれ以上はヤバい」と誰かが言った。
○○はいつも机に突っ伏して寝ている男だった。今日も教室に着くなり眠っている。彼は近くにいる他人の魔法を増幅させる魔法の使い手で、それは勝手に発動する。彼が何かをする必要はなく、制御もできず、ただ魔力が勝手に使われていくので常に眠いらしい。
ともあれ、○○がここにいることで赤毛の魔力はとんでもないほど強くなっていた。しかしそれこそが赤毛の狙いだったらしい。私たちを苦しめるためだと彼は言った。
目が覚めると、昔作った使い魔がいた。綺麗な声で歌う青年の使い魔だ。
彼は心優しく良い使い魔だったが、私の未熟さによりすぐに死んでしまった。
これは夢か幻覚だと分かる。
彼が死んだ時をもう一度やり直しているようだった。胸は痛かったけど、もう乗り越えたことだ。私は彼に優しい言葉をかけ、彼は跡形もなく消えた。
私がなんのダメージを喰らっていないことに腹を立てた様子の赤毛は、「たった一人との永遠の別れに傷つかないのなら、大勢との永遠の契約に苦しむがいい」と言った。
ぱちりと場面が変わって、私はどこかの高架下にいる。目が合った人間や異形が何人も私の後を着いてくる。
焦った私は交通量の多い道路を渡った。すると彼らは車を気にせず私についてきて、幾人かはそれで動かなくなり、幾人かは赤い血だか肉だかを見せながら追いかけてくる。
彼らも好きで私に着いてきているわけではないのだ。