「お前に騎士は無理だ」
ついにそう言われてしまった少年ジナは、あてもなく砦をぶらぶらとしている。
彼は強かったが、勝ちたい気持ちが大きすぎた。多少汚い手を使ってでも勝ちを取りに行った。連携も必要ないと思っていた。1人でも充分戦えた。
騎士に必要な、高潔さや誇りを彼は持てなかった。
「お前は何のために騎士になりたかったんだ?本当に騎士でなくては駄目か?」
そう問われて、彼はふと天井を移動できることに気付く。彼は身が軽く、相手の剣を奪えるほど素早かった(もちろんそれも教官の気に入らなかった)。
騎士以外にも戦うことを生業にすることはできる。むしろ平和なこの国のために戦うには、お飾りの騎士よりも