2024年1月読んだ本(前編)

amy
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自分に思いっきり響いた本は個別に感想を書くようにしているんだけど、それ以外の本は読んだら読んだっけ!?ってなってしまうので、一言二言でも感想を残すことにした。でも来月まで続いているかはわからない!あまり期待しないでほしいし、私も私に期待していない!期待値低空飛行。本のタイトルのところにリンクつけてるので気になる本がある人は見てみてくださいな~

  1. すみれ荘ファミリア (講談社タイガ)/凪良ゆう

新年一発目は凪良ゆうでなければ…!と思ったのだった。好きな作家さんで新年をはじめる。幸せ。彼女の著作を読むといっつも(どうしよう、好き)という言葉しか出てこない。やっぱり生きていくうえでままならなさとか引きずっている傷つきを抱えて、しんどいながらもどうにか生きていこうとする人と少しだけ世界に希望を見出だせる世界が好き過ぎる。明快なハッピーエンドではないけれどバッドエンドでもないし、そもそもハッピーとかアンハッピーとかも誰かが誰かをその尺度で測っているだけで、自分の気持ちは自分だけのものというメッセージを感じる

  1. 窓ぎわのトットちゃん 新組版 (講談社文庫)/黒柳徹子

映画を見たので!小学生以来だよ!本のいいところは映像だと何もしゃべっていない、目線だけを動かすようなシーンでもモノローグでしっかり気持ちが描かれているところがね…。でもやっぱり戦争がいつのまにか日常を飲み込むことへの恐怖は変わらなくてむしろ文字にされたことで明確になってて、きついし怖い

  1. 談虎色変-虎を談じて色変ず- (MFコミックス ジーンシリーズ)/螢 

これはBLなのかな。いわゆる性愛的な描写はよくある商業BLよりも薄い感じがして、個人的には性愛の関係ではない解釈をしたくなる。耽美的でややホラー描写あり。絵は美しくて見応えがあったからノベライズとかで心情描写の補強をしてほしい

  1. 「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える (ちくまプリマー新書)/石田光規

「まあ、人それぞれだからね」というのは一見寛容に見えるけれども非常に冷たい対応で、それによって生じる懸念などの解説をした本。新書だし薄くてわかりやすかった。「人それぞれ」ってのはその人を尊重するように見えて、その人自身が抱える問題をこちらに持ち込まないでくれという一種の拒否反応でもあり思考をストップさせる言葉でもある的なことが書かれていて、いやーほんとそうですよね…と反省したというか、考えたくないことが出てきたときに使ってしまいがちが頻出フレーズよな…と思った。「人それぞれ」なのはもう存在するものとして社会に共有されたほうがいいし、大事なのはその「人それぞれ」の中身に対してどうやって行動していくかよね。このあたりを柔軟にしていけばもっと労働に参画しやすい人たちも出てくるよね

  1. ジャンル特化型 ホラーの扉: 八つの恐怖の物語 (14歳の世渡り術)/澤村伊智ほか

ホラーはなぜ怖いのか、ホラーのなかにあるジャンルとは。ということを解説しながらそのジャンルの短編を収録した解説書兼アンソロジー。澤村伊智さんが執筆陣にいたので読んでみた。私は以前から自分のなかに”おもしろい”と思うホラーと”そんなおもろくないな”と感じるホラーがあって、どういうホラーだとおもしろく感じてどういうホラーだとおもしろくないと感じるのか気になっていた。ホラーにジャンルがあるらしいことは知っていたけど本屋でも図書館でも〇〇ホラー!とカテゴリ分けされていることなんてないわけで。だからこの本を読んでホラーのジャンルや実際の作品の手触りがわかってよかった。私は心霊ホラーと怪談、モキュメンタリーホラーはたぶん感覚にあってるんだろうなと思った。どれもおもしろかった。逆にそれ以外、特にモンスターホラーはあまり怖さも感じなかったかも。ゾンビ系もつまらんと思うタイプだしな…。ホラージャンルに親しんでみたいけど、どういうやつから手を取ればいいかわからん!という人にもおすすめ。よきガイドでした

  1. 過ぎる十七の春 (角川文庫)/小野不由美

小野不由美の十二国記が名作なのはわかったから、とりあえずホラーを読んでくれ…。彼女の真骨頂はホラーだ!小野不由美先生のホラーはジャンルでいうと心霊ホラーとミステリーのかけあわせ感がある。怪異にも怪異なりの理屈があるというもので怪異がなぜ起こるのかの突き詰め方は完全にミステリー小説。だからひたすらになんかやばいものが出てきてうわー!って感じではなくて、めちゃくちゃ好み。おもしろい。情景描写の綺麗さと空間に恐怖を湛えさせるのがすっげーうまい。小野不由美、小説がうますぎる(あまりにも不敬)。表紙がぱっと見ホラーものに見えなくて切ない青春物っぽく見えるがちゃんとホラーなので…

  1. ときめくフクロウ絵図鑑/永田鵄

私はフクロウが大好きなのですが、やっぱり犬とか猫とかに比べて関連書籍少ないんよなー。フクロウは耳もよく視野も広く羽には風切羽がついていて羽ばたき音がしないんですよ。大型のフクロウは仔鹿を狩るぐらいには鉤爪の力も強い。狩りうますぎ問題。フクロウの胃のなかを見れば生息地の生態系がわかると言われて食物連鎖の頂点にいるとされている。でもフクロウの種類にはまだ明るくないので読んでみた。もともとTwitterで絵も見ていた方だったので興味はあったんだけど、かわいい絵はもちろん内容もわかりやすくてよかった。フクロウは賢者の象徴でもあるよね。河出書房新社のマーク、フクロウだし

  1. パラソルでパラシュート/一穂ミチ

これめっちゃよかった。物語のかたちが凪良ゆうの「すみれ荘ファミリア」に似てる。ルームシェアというか。男女3人が恋愛関係にならないのが、いい着地のさせ方だなと思った。でも3人のセクシュアリティが明らかにされていないように感じたんだよね。これはたぶん意見がわかれるところなんだろうけど、マイノリティ属性をそこに属していると確実に書いて登場させるのと、書かずに行動や言動でそういう属性であると想像させるようなマジョリティ属性と同じように改めて属性を表さないような書き方もあって、私は後者として書いたんじゃないかなーと思った。でも、そもそもまだマイノリティ属性を描いたフィクションの絶対数自体が少ないんだからそこを明確にすべき、というのもわかるしマイノリティ属性がわざわざ異性愛者なんて書かないんだからマイノリティ属性でも書く必要がなく描写からそうであることを理解するべきというのもわかる。こういうのってどうすればいいんだろうね。当事者の人たちのなかでもだいぶ違いがありそうだしな。読んだ人たちと語りたいやつだ

  1. 世界史のリテラシー ローマ教皇は、なぜ特別な存在なのか: カノッサの屈辱 (教養・文化シリーズ)/藤崎衛

私は高校で世界史選択をしていたのだけれど、自分の好きな人物や歴史のところ以外ほとんど頭に残っていない。芸術文化とか服飾史はけっこう脳内になるんだけど、いろんな海外の歴史ものドラマとか映画を見てそもそもなんで教皇ってこんなに力があるんだっけ?皇帝とのパワーバランスってどうなってるんだっけ?と疑問に思って読んでみた。いろんな配信サイトで見られる海外の歴史物についてはこの知識をインストールしてから見ると理解度がかなり違う。それが現代とどう繋がっているのかって考えるとキリスト教圏の人にとっての宗教の立ち位置とかがわかりやすくなるんではないかなーと思った。海外のフィクションはだいたいキリスト教の感覚がベースにあるから知っているとおもしろさがよりわかりそう

  1. 366日 物語のある絵画/海野弘 

これもちょっと↑と内容が被るかも。西洋の絵画を見るのが好きなんだけど、絵画に描かれている内容を解説している。ギリシア神話、聖書物語、中世の騎士物語、世界の伝説からシェイクスピアなどの文学とか。これも海外のドラマとか映画とかの影響なんだけど、登場人物のちょっとしたセリフに聖書とか神話とか伝説とかが引用されたりするじゃん…!そういうのを少しでも知りたかったんだよね。なんか見たことあるぞ…?っていう記憶の片隅に転がっていた絵の解説もあって楽しかった。美しい絵はいいな…

前編はここまで。残りは後編にて。明日更新できるはず~

@amy
リプトンより日東紅茶派。Twitter→@note1581 Bluesky→bsky.app/profile/amy1581.bsky.social Wavebox→wavebox.me/wave/4pcj26ik98hvnx73