前編の続きだーい
谷川俊太郎のエッセイ、よかった。日常ってこういう捉え方できるんだ。過ぎるものを過ぎるだけのものとして扱わない観点というか感覚があるのすごいな…。ぱっと見じゃわからないような細かいしわみたいなものをなぞってくの、谷川俊太郎の立体感が上がる
結婚式より葬式が好きだ。葬式には未来がなくて過去しかないから気楽である――。
この文言にびびっとくる人は読んでみてほしい
まーーーた小野不由美読んでるんかい。いや、でもおもしろかった…。この人は何を書いてもおもしろいな…。因習村的な感じなんだけど真相が(え、うっそやん…!?)となり、ネタバレ平気勢な私としてもこれはネタバレなしで読んでほしいと思ってしまった。伏線というか散らばらせた点がすべて線を結んでいくのがすっごい気持ち良すぎたな…。広げた風呂敷をきちーんと畳んで箪笥のなかにしまってから「はい、おしまい」にするのすごすぎ…
私はこういうTLものも読むんですよね、節操がないので。TLもの、基本的にはヒロインも相手の男の子も好みじゃないと読まないし、その好みがめちゃくちゃ細かい自覚はある。でもこれはよかったな…。裏アカで自撮りをあげるエッチなことに興味がある女子と愛が重めの男子。そういうシーンでも男の子がヒロインを尊重している様子が丁寧に描かれていて、そのへんも安心して読めた。強引に関係性を進めようとするのはもう読めん…。こういう作品のなかに落とし込まれる細やかな配慮とか女の子への扱い方は好みにあう作家さんを探すのが難しいので、久しぶりに出会えて嬉しい。この方の作品は他のも読もう~
田辺聖子の恋愛小説短編集。やっぱり執筆当時時代背景もあってすごくリッチ。なんだろうな、大金持ちがばんばん出てくるわけじゃないんだけど、独身の女性の生活ぶりや文化とかに対する感覚が、こう、豊か~!って感じ。たったの1行で展開が急転直下で「え、え、え…?」ってなるところがあって、明るい雰囲気のまま気がついたら真っ暗になってた、みたいな話もあり、たった1行で数文字で状況を一変させるなんて小説という装置をわかりすぎている。でもかなり自我が強くて傲慢で無邪気で愛さずにいられない女性がいっぱい出てきてよかった。さすが田辺聖子…
近藤史恵の日常ミステリ家族小説。和菓子屋の姉妹の話だった。近藤史恵の作品には多いけれど、さらっとゲイの人が出てきたりするんだよな。そういう描写が嬉しくなる。作中で明かされる主人公と主人公家族のある事柄に私は自分のフィルターを、いや偏見をべりっと剥がされた感じがした。曾祖母のことについて探りながら主人公が自分と家族に向き合っていく話なのだけど、最終的には心があたたかくなれる、優しい読み口だった
雨月物語の現代語訳に水木しげるの絵をつけたというどう考えてもおもしろいに決まってるじゃん…!の本。雨月物語は読みたいなーと思いつつ手を出せていなかったので読めてよかった。さすが怪談、怪異小説の古典…。人間は何らかの強い情念や欲望に突き動かされていて、その行動は時に恐ろしい結末をもたらす。でもそれは程度の差こそあれ、実は誰もが持っているものでもあって、いつ自分がその情念や欲望を暴走させるかはわからないんである。だからこそ、それらを抑えることなく生きる彼ら・彼女らに夢中になる。人間の愚かさとか歪さが恐ろしいとも感じるし愛おしいとも感じる
恋愛小説のアンソロジー。著者ラインナップが『一穂ミチ・窪美澄・桜木紫乃・島本理生・遠田潤子・波木銅・綿矢りさ』こんなの全員海老の天ぷらじゃん。海老天しかない天丼じゃん…。私はれんこんの天ぷらが一番好きだけど。文芸誌の恋愛特集のために書き下ろされた作品をまとめたもの。どれもほんとーーーによかった。全部好き。なんか恋愛ってどうしても自分の生きてきた環境から受け取った価値観がインストールされて、それがよくも悪くも作用してるよなあと読んでいて思うのだった。あとけっきょく他人と深く向き合うことは自分と深く向き合うことでもあって、そらつらいわあ…。ヒリヒリしてて苦しくて、でも文字からそれを体感できるところが小説のおもしろさだよなあ…!名手たちの恋愛アンソロジー超おもしろかった
1月、やっぱりけっこう読んだな?別にたくさん読むことを目的にしているわけではないけれども。本はいらない広告も出てこないしインプレッション稼ぎのやつらも出てこないし、何より想像力を駆り立てられておもしろいな…。もっと本も読みたいし映画も見たいし文章も書きたい~~~。1日36時間になってほしい