日中戦争に出兵した夫が、四肢も聴覚も声も失って帰ってきた。軍から勲章をもらい、村人には「軍神」と崇められるが、世話をする妻・シゲ子の心中は複雑で…という話。 シンプルなだけにしんどい話だった。夫が怪我をした理由も、四肢を失ってもなお傲慢な態度も、「お国のため」と疑わない村人たちの言動も、シゲ子が承認欲求を満たす様も…何重にも気持ち悪くて胸やけがした。 久蔵とシゲ子のパワーバランスが変わっていく中で、それでも夫を突き放しきれないシゲ子の様子が、苦しく悲しい。
久蔵にとっても、シゲ子にとっても、極限状態よな。病んでく方向が違っただけで。