最近作業をするとき、よくヨルシカの曲を聴いている。
何が好きなのか、と訊かれると難しいが、とにかく曲が良い。ジャンルの枠に囚われず、極めてコンセプチュアルな音楽で聴き手を突き刺してくる。
このコンセプト重視な姿勢がヨルシカというバンドの特色だと思う。各アルバムは明確なコンセプトを持って作られ、一つの芸術作品として完成されている。「だから僕は音楽を辞めた」「エルマ」では対になった2つのアルバムを通してエイミーとエルマの物語が繰り広げられ、「盗作」では盗作や破壊衝動、創作者としての死を描いたストーリーを描く。音楽というより文学に近い。
好きな理由として思想の近さもあるのかもしれない。ヨルシカは基本的に顔出しをしないし、メディア露出もない。流行りに乗った音楽を作ることもしない。重要なのは作品や表現であって、そこにファッションやキャラクター性は不要である。
私も一応は創作者として作品を作っている身だが、自分の作品もそれ自体が重要であって、自分自身のことを知ってもらう必要はないと思っている。結局鑑賞者や遊び手にとっては、そこにある作品それ自体が全てだからだ。(とはいえマーケティング的な視点から見れば作者の知名度が重要なのは知っているつもりだし、そもそも遊んでもらわなければ意味がないという気持ちがないわけでもないけど)
作品から感じる思想に共感できるから、そしてそれを貫いている姿勢が好きだから聴いているのかもしれない。歌詞や曲調、アルバムのコンセプトからそれが感じられるからこそ、このような感想が抱けるのだろう。
だから是非、ヨルシカの曲を聴くときは一つのアルバムを通して聴いてみてほしい。作品を作ることに情熱を捧げる人にこそ、何か刺さるものがあるはずだ。