今日はもう一方の道から行こう。海沿いの道路、ガードレールを超えるとすぐに海があって、山を沿うようにカーブが続くあの道を。カーブをしばらく進むと緑の多い小さなトンネル。そこをさらに抜けると、いつもの道に繋がるはず。
でも今日は繋がらなかった。一本道だったはずなのに道が二股に分かれている。ひらけた大通りだったはずなのに、今日は狭い。
視界がグラグラしてきた、思い通りに自転車を操縦できない。知らない道へ進んでしまう。狭く、暗く、湿った小道を抜けるとそこは、ひらけた森の中、貯水池に雨水がぽちゃんと落ちた。緑が生い茂り、霧が立ち込める。直感的に、ここは「生」と「死」の境目だと思った。誰も此処を見つけることはできない。これ以上居座ってしまったら、私は死ぬのだと。心地良かった。ここにいたい。もう少しだけ、ここにいよう。引き返せなくても、もう良いような気もするし。