好きな花が増えた。20度前後のなんとも心地良い気温のなか、もう19時半を過ぎているが徒歩で40分弱の大きな公園に向かうことを決意した。
ベンチで読書でもしようかと思っていたのだが、着いた頃にはすっかり夜で、小さな街灯の下では困難であったことがわかる。結局30分ほど池の周りを歩いて帰宅の途につくとき、それに出会った。
白い花にピンク色の蕾。香りもあまりに華やかなそれは、どうやらハゴロモジャスミンという植物の花らしい。天女の羽衣に姿が似ているからこの名前が付けられたとも書いてあった。しかも「香りの王様」と呼ばれ、姿は見えずとも香りで周囲に存在を知らせられるほどだそう。悔しい。私は気がつけばあのときハゴロモジャスミンのそばで咲いていた小さな花の気持ちになって、植物界の天女に嫉妬していた。そういえば、あの小さな花はどんな色をしていたっけな。