電車の中で、新しい制服に身を包んだ学生たちを春の空気がふんわりと包んでいて、あまりの眩しさに目を逸らしてしまいそうになった。
こういうとき誰かといればあたたかな気持ちになるのだけれど、なんとなく気怠いひとりの朝には、孤独感がとくに引き立つ感じがする。世話を焼いてくれる親御さんを少し恥ずかしく感じたり、同じ車両の、同じ制服の学生たちを視界の端っこで気にしたり。私にはもう感じることのない春を彼らは感じている。
羨望は孤独にちょっぴり近い感じがする。羨ましいという気持ちは、それなりの距離感があるからこそ生まれるものではないかと思う。憧れとか、尊敬とか、私が近い距離感で生まれるものはそういったものだから。