ひどい頭痛と腰の重だるさに抗えず、この2日間は「布団の主」と化していた。生理である。今回の生理前のようにPMSに爆弾低気圧が重なると、横になる以外に成す術を失う。意外と頻繁に来るこのダブルパンチ。毎月最低1週間は調子が悪いのだから当たり前なのだけれど。
もう10年ほど生理のある生活を毎月繰り返しているというのに、一向に「此奴」との付き合い方をマスターできていない。PMSや生理痛が来るたびに、幾度となく検索をしてきた。知識だけは沢山ある。冷やすのが良くないとか、適度な運動が効果的とか、ハーブティが良いとか、そんなのもう知っている。PMS緩和のためにピルだって服用しているし、ヨガやストレッチだってした方がいいことは分かっている。けれど体が辛くなってしまうとストレッチすら難しいのが現実。
何度も経験しているはずなのに、そのしんどさを毎回新鮮に感じるのが不思議だ。生物学的に生理のない性別の人が羨ましく、やはり何度でもずるいと思ってしまう私の脳みそ。いまだに受け入れることができていない。冷静に考えれば、1ヶ月のうち1週間必ず股から血が流れ続けるこの現象。正気の沙汰ではない。それでよく、私たちは平気な顔して生活を送れていると思わないか。
ピルを処方してもらうたび、鎮痛剤やナプキンを購入するたび、あと数十年もの間、ただ「平然と生きるため」だけにかかる支出額に唖然とする。OECDの調査によると、2022年時点の日本の男女賃金格差はOECD加盟国の中で韓国とイスラエルに次ぎ「ワースト3位」だという。日本において男性に比べ女性の生涯所得が大幅に低い現状は依然として大きく変わらないにも関わらず、私たちは生きているだけで「余分に」お金がかかっていく。
痛みやだるさ、眠気を我慢し、布団から無理矢理身体を起こした経験は数知れない。学校、仕事、様々な予定。布団の主と化すことができない理由は山ほどある。「ピンク税」や「生理休暇」など、制度面での変革の必要性が注目されてきていたり、学校現場での性教育に関するニュースも徐々に目にするようになってきたのも事実だ。けれど私たちが生きる実際の生活において、「生理だから」が正当な理由として一般的な認知が得られる世の中には、まだまだ程遠い。