大人の朝ごはん

aokiminori
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本格的な冬になり、「朝のおかゆ」にハマっている。3分程度でできる本当に簡単なもの。レシピは見たことがないので、正しい作り方は分からない。自己流のおかゆ。お湯を少量沸かして、創味シャンタンか丸鶏がらスープの粉末をパパッと溶かし、お茶碗一杯分の白米と刻んだネギを入れる。テキトーに混ぜて溶かし卵をかけるだけの、平凡な卵がゆだ。ネギと卵は、一応緑のものとタンパク質を、という意識で入れている。

季節の変わり目にお腹の調子を壊したことがおかゆブームの始まり。たまたま数日連続で作ったことが、その素晴らしさに気づかせた。朝起きておかゆが一番に胃に入る幸せ。おかゆは全方位に優しい。消化に優しく、胃もあったまる。優しい味に心がほころぶし、卵を纏ったふにゃふにゃのお米は目にも優しい。朝からやさしくてあったかいものを食べると、なんだか1日の調子も上がる気がしている。

今までの朝の定番は前日の残り物。レンジで温めるだけ。残り物であれば、揚げ物だろうがカレーだろうが関係ない。わざわざ火を使って朝食を作るなど、よっぽど疲れていない休日の朝しかしないことだった。毎朝決まった時間の通学が課せられていた12年間は、お腹に溜まる残り物をとにかく丼状にして、3分でかき込んでいた。(おかげで早食いスキルを習得した) ただ、最近そのスタイルではどうも、頭が働き始めるまでに時間がかかる気がしてきたのだ。なんだか脳も体ももたつくような。運動量や生活スタイルと共に、体の内側も確実に変化していることを、23歳にして感じざるを得ない。(今までが単に食べ過ぎだった)

おかゆは他のメニューとはちょっと違う存在。敢えて作ろうとは思わない立ち位置にいた。そして私にとっては風邪の象徴でもあった。体調が悪い時、看病に自分ではない誰かが作ってくれるもの。心配の証。しかし健康時は朝から平気でカレーをがぶ飲みする私は、体調を崩してもおかゆでは物足りない。インフルになろうがコロナになろうが、普段通りのメニューと量を何の問題もなく平らげてしまう。おかわりまで要求する厚かましさ。病人あるまじき病人と化すのである。そのことをよく知る家族は、おかゆなど作ってくれるはずもない。ましてや「アイス買ってこようか......?」なんて言葉はかけられたことがない。風邪の時のアイスも、私にとっては漫画の中の話だ。

理想の看病への憧れがおかゆ愛を強めているのかもしれないが、そんなことはどうでもいい。私は今、おかゆをわざわざ毎朝作り、「自分にやさしいことをしている自分」に酔っているのだ。そうだ。セルフラブだ。朝から胃腸のことを考えておかゆにするなんて。

春が近づいてきて、ネギを菜の花にしてみたり。「朝ごはんは決まって菜の花のお粥です。」なんて言えちゃう訳だ。なんだか大人っぽい〜

@aokiminori
2000年生まれ。デザインをしたり、動画を編集したり、文章を書いたり。