ひととの関係性がなんだかうまくいかないなあ...と感じる時、私の場合は大抵その人とのベストな距離感を測り間違っていることが多い。良好な関係を保てる距離感は相手によって違う。誰かと上手くいったからといって、その成功体験をテンプレートに同じ接し方をすれば、誰とでもうまく行くわけではない。さらにそれは日々刻々と変化してゆくものでもある。自分も相手も毎日いろんなものに触れて生きている。さまざまな人に出会い、学び、挑戦し、失敗し、経験する。内側に起こる、自分自身も気づかないほどの微々たる変化。その小さな小さな点が毎日積み重なってゆく。ふと振り返ると、自分の後ろには緩やかな曲線が描かれていたりする。そしてふと、こんなにも変わっていたのか、と気づくのだ。
私たちは毎日変化を繰り返す生き物だ。ゆえに共に長く生きていく中で、ずっと変わらぬ同じ距離を、双方が心地よく感じられるとは限らない。50センチの距離がうまくいくなあと思っている相手でも、ある時「50センチはちょっと近すぎかも。」と感じる場面が訪れたりする。そんなとき、120センチの距離にしてみたら、意外とうまく回り始めたりする。50センチを120センチにすると心が離れてしまったように思うけれど、決してそんなことはない。嫌いになったからプラス70センチするのではない。好きでいられるために、120センチを選ぶのだ。
お互いが変化し続ける存在であること。ふたりの距離感が変化すること自体が全うであること。自分と相手の変化を認めて理解する。「ふたりの距離感」を客観的に見ることができること。その時々に心地いいと思える距離感をその都度アップデートし、ふわりと変わっていける身軽さが、大切だなあと思うのです。