去年の年末に母が漏らした一言が衝撃的だった
「最近このバンドにハマっててね〜」
教えてもらったYouTubeのURLを開くと、線の細い男の子3人のバンドが失恋の歌を歌っていて Twitterを見ると明らかにファン層が高校生〜大学生くらいの「ファンも演者も若いバンド」だった
母はピアノが好きで、今も習い事でピアノをしていて、全席指定のクラシックコンサートにはたまに行く人だったけど、特定のバンドが好きと言うのはとんと聞いたことがなかったからまあ本当に娘の私はびっくりした ひっくり返るかと思った ば、ば、バンド!?この人バンドて言うた!?
年末にした話はそこで終わったものの、その後私はそのバンドがツアーをすることを知り、なんかわりと近くの行ける距離のライブハウスまで来てくれることを知ってしまい
これはもう、母を連れて行くべきでは!?になった
話がちょっと逸れるんだけど、私は若い頃にバンドマンをしていて
最初は小さい箱でやっていたバンドが、売れた瞬間にチケット取れなくなってアリーナ、ドーム、と手の届かない存在になっていくことをよく知っていた
行くなら今しかなかった
ライブハウスでオールスタンディングのライブ……しかもバンド……母(私の母だから結構な年齢だ)に耐えられるのか……!?と不安はあったものの、それとなく母の予定を把握し、まあ無理ならそのときはそのときと怒涛のチケット戦争・交通手段の確保を乗り越え、もろもろ手に入った後に打診してみた
「え!?行く行く行くそんなん行くよ!!!」
母は思ってたよりめちゃくちゃ乗り気だった 若いな
満を辞して今日ライブハウスに着いてからもはしゃいでいて、ライブが始まったら跳ねるわ手を上げるわ手拍子するわで 私より楽しんでて
母の顔をした母ではなく、少女の顔をした母を初めて見た日だった
帰り道にきゃっきゃと感想を言う母を見て、なんとなく母が死んだら私は今日のことを絶対思い出すな……と思うなどしていた このことを母に話したら死んだ後の話をすな!と言われた それはそう
母が元気なうちに親孝行っぽいことができて良かった 本当に母が死んだら今日この日のことを思い出すよ
余談 私は首を振ったり体を折りたたんだり人間の上を人間が通過する系のバンドのライブばかり行っていたから、今日のお客さんたちが大人しくその場に留まって紙コップでドリンク飲みながらライブ見てるのにすごくびっくりした 文化の違いを感じた