今日は歌をまとめていく。
天(あめ)の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
万葉集 巻七(一〇六八) 柿本人麻呂
夕星(ゆふつづ)も 通ふ天道(あまぢ)を いつまでか 仰(あふ)ぎて待たむ 月人壮士(つきひとおとこ)
万葉集 巻十(二〇一〇) 柿本人麻呂
大船(おほふね)に 真楫(まかぢ)しじ貫(ぬ)き 海原(うなはら)を 漕ぎ出て渡る 月人壮人
万葉集 巻十五(三六一一) 柿本人麻呂
秋風の 清き夕(ゆふへ)に 天の川 舟漕ぎ渡る 月人壮人
万葉集 巻十(二〇四三) 作者未詳歌
天の原 い行きて射むと 白真弓(しらまゆみ) 引きて隠せる 月人をとこ
万葉集 巻十(二〇五一) 作者未詳歌
天の海に 月の船浮け 桂梶 懸けて漕ぐ見ゆ 月人をとこ
万葉集 巻十(二二二三) 作者未詳歌
春日なる 三笠の山に 月の船 出づみやびをの飲む 酒坏(さかづき)に影に見えつつ
万葉集 巻七(一二九五) 作者未詳歌 旋頭歌
黄葉(もみち)する 時になるらし 月人の 楓の枝の 色付く見れば
万葉集 巻十(二二〇二) 作者未詳歌
月は船 星は白波 雲は海 いかに漕ぐらん 桂男はただ一人して
梁塵秘抄 四五〇 二句神歌
「月の舟」という言葉が素敵だ。
ずっと前を生きた人の作った歌で心を動かすことができるのは、とても幸せなことだと思う。
一部は下記のデータベースを参照