不器用の効用なんて書くと、そんなことあるのだろうかと思ってしまうだろう。
昔から不器用で、多くの人がひょいひょいと当然のようにできることがなかなかできない。
昔であれば、スキップとか靴ひもを結ぶとか、粉薬ではなくて錠剤を飲むとか、そういう小さなこと。
一つ一つのステップを上がるたびに躓く。
あまりにも些細ことでよく躓くから、そのうち慣れてしまった。
要するに何事も、必ずしも最初から上手くいくものではない。
たとえ周りが難なくこなせていても、周りと比較することはやめた。
自分は人よりもゆっくりと上達するのだ。
それが分かっていると、できなくても変に焦らない。
何せ最初はできないものだから。
これは不器用の効用ではないだろうか。
できないことも多いけれど、意外とそのうちできるようになる。
スキップも靴紐も錠剤も。跳び箱も逆上がりも自転車も。
最初はどうしようというくらいできなかったのに、ひたすら練習を続けていると最後にはできるようになる。
そのうちできるよ、それくらいのおおらかさは身についたかもしれない。