今日は東京藝術大学美術館で開催中の「大吉原展」に行ってきました。
吉原や遊郭については漫画や小説、映画などで多少見聞きはしていますが、深堀りする機会がなかったので楽しみにしていました。
展示は知らないことだらけでした。
周囲は田畑に囲まれ近くに隅田川があるので逃げることはできません。
遊女の1日を10枚少々で描かれた浮世絵があり、スケジュールが示されていたのですが、え??いつ寝てるんだ彼女たちは?
お泊りするお客さんを相手して、6時に大門が開いたらお見送りをして、10時に起床???
宴席などで豪華な料理が出ても遊女は手を付けませんが、お酒は勧められたら飲むそうです。
そんなですから年季明け前に亡くなる遊女もいます。
有名な子(名前忘れちゃった)が亡くなったのをきっかけに夏は殉職した(?)遊女を供養する灯籠を飾るそうです。
「鬼滅の刃」にも出てきた大通りの植え込みには桜や菖蒲を植えて季節感を出します。
開設当初の江戸時代は生活が天候に大きく左右されるので、桜などの植え替えは粋でありながら不自然だなぁともやっとしました。絵そのものは素晴らしいんですけどね。屏風以上の大きさの絵もあったんですよ。
時代が移り揚屋が廃れて、武士の出入りが禁止になり、更に蔦屋重三郎の出現で吉原は大衆化し、文化やファッションの発信地になります。客の狂歌作家のグループ(吉原連)が出来たり、狂歌を作る遊女もいたとか。浮世絵作家に転身する遊女もいたそうです。
一方河岸にある切見世は年季が明けても行き場がない子が移る場所でもありました。女衒などに戻すこともあったようです。現代でも起こり得る展開じゃないの。
また度々の火災の原因に遊女による放火もありました。先述のスケジュールに加え、まともな食事も出ない等でキレた子たちが準備を重ねて放火し、主張が認められて店主も流刑にされたなんて事件もあったそうです。もちろん遊女たちも流刑などになっていますが。
明治時代になり娼妓解放令が出たことで吉原にも厳しい視線が注がれました。万博で再興を目指した花魁道中も重い着物や注目が集まることで人権侵害だという遊女の訴えが認められ衰退が進みました。
華やかで不自然な街・吉原は、頑張らなければ年季が明けても居場所がないという過酷な場所でした。
それでも遊女の生活を描いた浮世絵の中の遊女や芸者たちは、居眠りをしたりw、夜明けに火鉢で温まったり、雑談や占いに興じたりと素顔が見られるものもありました。桜などの植え替えも外出ができない彼女たちにとっては楽しみの一つになっていたでしょう。少しはほっとする時間が持ててたらいいな。
撮影は原則禁止ですが可能なエリアもあり、各界の職人によって再現された遊郭模型(?)がありました。
身支度する遊女の姿もあります。浮世絵などからの再現なのであれこれおかしなところはあるのかもしれませんが。
音声ガイドをスマホアプリで利用してみました。ナレーションは槇大輔さんと沢城みゆきさんでした。他のガイドがどうなのかはわかりませんが聞きやすかったです。アプリ版なら会期中家でも聞くことができます。実際に聞くかどうかはわかりませんがw
余談ですが、展示物に千葉市美術館所蔵の浮世絵が結構あったんですよね。
永青文庫で春画展が開催された時の熊谷市長(現県知事)が実は春画の所蔵が結構あるから展示してみたい、なんておっしゃってたはず。今度行ってみてもいいかも。