
仕上がった帯を日記本に巻き、ぴったりの衣装を身につけ誇らしげな様を眺める。自分の中から引き出したものを自ら編集する過程で深まる解釈をさらに咀嚼しまた形にしている。

自分が傷つけられたわけでもないのにどうして傷つくのか。あなたが自分に向けられたと感じたその切先は本当にあなたを向いていたのか。ほんの一握りの人々に対する暴力を自ら被り、受けなくてもいい痛みを受けて、そのうえ被害者ぶって嘆くだなんて、よほど浅ましいのでは。
そんな言い分を耳にする。
あなたと私をまったく同じ存在だと捉えるのも、わかりやすいものとわかりにくいものとの間に線を引いて仲間と敵、あちらとこちらを安易に作り出すのも、たしかに危ういだろう。
だとしても、あなたと私が異なることを前提としたうえで、それでもあなたの痛みに涙し怒りに震え、あなたが傷つかない世界を望んで声を挙げたいと湧きおこる衝動や感情は、たやすく否定されないでほしい。
だってはなから諦め手すら伸ばさぬ範囲の外に、あなたがいるとは考えがたい。