2025年8月11日(月)

aramashi
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公開:2025/9/28

雨降りの中、私設図書館『おざぶ書庫』へ。司書の2人に出迎えられ見渡す部屋の壁には一面を覆うほどの幅高さの本棚が備えられ、襖の外された押入れからは空間いっぱいを満たす低いレコードの音が響いている。

じっくりと棚を見てまわり、これと決めた一冊を手に取って、洋室の隅にある赤い椅子に腰掛ける。めくる一枚一枚に左手から右手へと厚みが渡るそのさなかの紙ズレの音、指の腹に残る手触り、ノドに落ちる影に深くも静かに身を預け、今だけは本と自分ばかりとなる心地よさに浸る。

カーテン越しに広がる光の色と明るさの移り変わりから、扉を叩く頃にはどんよりと沈んでいた空に晴れ間がさしたことが窓を開けずともわかった。小原 晩『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』を読み終える。

別れとは門出である。出発である。そう言い聞かせるしかなくなってしまって、私は、これ以上、こんにちはと言えないひとを増やしたくない。(ハローグッバイ)

@aramashi
いつか平気になるための記録|詩歌としての日記|猫と暮らす|lit.link/aramashi