全部主観であり自分の抱えてる感想
およそ3年に及ぶパンデミックによるリモートワークを経験した結果「直接会って話したほうがはやい」といってメンバーの出社を求める組織は徐々に増えていると感じる。
出社だけではなく、例えば不動産仲介業者とのやり取りも、メールで質問した内容に対して電話で答えが返ってくるというように、事あるごとに口頭での同期的なコミュニケーションを取りたがる人はいる。
「話したほうがはやい」という人は大抵伝える時の細かいニュアンスや表情から読み取れるテンションが直接会ったほうが伝わるしお互いレスポンスを待たなくて速くて楽だと言う。
それは全く否定しない。間違いないと思う。そもそもタイプミスや誤変換を気にしながらキーボードを打つよりも発話したほうがコミュニケーションは速いに決まってる。レイテンシーが発生するのは声を届ける媒体だけだ。
だけどそれは速い、もしくは楽なだけだ。わざわざ言わなくても誰でも分かるように、音声で話したことは努力をしない限り記録に残らない。後からその議論に参加していない人がログを辿れるようにするには、口頭で話した内容を記録しておく必要がある。
が、ほとんどの場合でこれは達成されない。記録が残っていたとしても、それぞれがどういう立場として参加してどういう議論がされて誰がどう感じたのか、口頭で話された時と同じ情報量を得られることはまずない。なぜなら「話したほうがはやい」が口頭での議論のモチベーションになっている時点で、記録を鮮明に後世の人間まで残そうという意識がないからだ。
これで困るのは数年後の自分、あるいは当時プロジェクトに所属していなかったメンバーだ。口頭で議論したときに共有された「細かいニュアンス」は後のメンバーには伝わらない。
話したほうが細かいニュアンスが伝わる、というのはその"ニュアンス"とやらを言語化してテキストに落とし込む作業を怠り、その負荷を別の形で後世の人間に押し付けているだけだ。
あなたは押し付けられる側です。なるべく耐えてくださいね。
プロジェクトに関わるようななんらかの意思決定を行う際に口頭で議論を行うのは基本的には悪手だと思っている。
テキストベースのコミュニケーションを前提とし、やむを得ない、もしくはログを残す必要が本当にない場合は「(会って)話したほうがはやい」の恩恵のみを十分に受けれるだろう。
自分が思う口頭、もしくは会って話したほうが良い例:
障害など緊急時の対応
突発的に始まった雑談
コミュニケーションを取る事自体が重要な目的の場合(1on1やデイリースタンドアップなど)
複数人で飲み会の予定を決めるとき
ログに残ってほしくない話