2024年4月8日(雨のエチュード)

 雨の音がする。一日中、降るそうだ。以下、エチュード。

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「雨と水たまりならどっちになりたい?」とぼくは言う。

「同じようなものでしょう」と彼女は言う。

「もともとは同じだね」とぼくは言う。

「水紋になりたい。しかも、何処までも何処までも拡がっていきたい」と少し考えてから彼女は言う。

ぼくは水紋になって広がる、雨とみずたまりの交差点に思いを馳せる。足音や呼吸が、何処までも拡がるさざ波の波形になって、ぼくたちから広がっていく。

「笑わないんだね」と彼女は言う。

「笑わないよ。何故」とぼくは言う

「こんなこと言うと、笑われるかと思って」と彼女は言う。

「笑わない」とぼくは言う。