愛されることがとても怖い。ぼくの知っている愛は、刃物や拳銃とそう変わりはしないものだったから。それを突きつけて、何かを強制し、場合によっては相手を殺すという意味で、やつらは双子だった。
だが、世界には花のような愛もあるのだと知った。朝露のような。陽光のような。子犬のような。微笑みのような。静かにただそこにあるだけという種類の愛があり、それらに対してぼくは刃物や拳銃への態度をとるわけにはいかない。
ただ静かにそこに咲いている美しい花に怯えるなど、なんと切ない光景だろう。その時、ぼくの手は身を守らなくてもいいはずだ。包んだり、愛でたりすることに使ってもいいはずなんだ。