「クマ撃ちの女」13巻の表紙がいい。伊藤さんの隣にいるチアキさんの満面の笑みにほっとする。
「クマ撃ちの女」は、過去獣害にあった女性が、その復讐の如くクマ撃ちにのめりこみ、まさしく人生をかけているまんがなのだけれど、一言では語りつくせない奥深さがある。その迫力と執念から「三毛別羆事件」の現代版などと呼びたくなるきもちが湧いてくるが、この稀有な作品が切り開きつつある新地は、そのようなありふれたキャッチフレーズの中には到底収まらない。
主人公のチアキさんは、色々な意味で厳しい人生を送っている女性で、彼女が表紙のように笑っている姿は珍しく、それ故に安心してしまう。庵野秀明監督がインタビューで「ぼくの人生は幸せです」と答えているのを呼んで涙ぐんでしまったことがあるのだけれど、あの感覚に何故か似ている。