2024年7月4日(東京都知事選挙④)

しずかな麦原アリノス
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公開:2024/7/5

現時点において、ぼくは安野たかひろ氏に最も期待している。

エンジニア。SF作家。IT起業家。というプロのテクノロジストである彼は33歳。政見放送に於いて「有力候補は、政局の話ばかりで、政策の話も未来のヴィジョンもない」と言う。

ここまで言うからには、彼自身は相応の政策と未来のヴィジョンを持っているのだろうな。と思うだろう。もちろん彼はそれを持っている(持たずしてあんなことは言えない)。

テクノロジーで都政・そして民主主義をアップデートする。というのが氏の主張である。しばしば和製オードリー・タン(韓国の元政治家でエンジニア。世界の天才の話になれば必ずその一人として数えられる)と呼ばれる安野氏の政策はたいへん具体的だ。

ちなみに、実際に安野氏と交流のあるオードリー・タン氏は、今回の立候補について、以下のようにコメントしている。

安野さんは抗議活動をしているのではない。私はそこがすごく好きだ。彼は『私たちは良い方向に変われる』と言っているのだ

同感だし、良い方向に変わりたいと願っている。


ただ、今回の選挙は正直きびしいだろう。まず、デジタルイミグラント(アナログ世代)の得票が期待できない。デジタルネイティブ以前の世代は、彼のマニフェストを読んでみても理解に至らない人が大半だろう。また、テクノロジーの積極的な利用について、日本は若干の警戒とアレルギーがある。

だが、楳図かずお先生が仰っていた通り、テクノロジーは基本的に逆行しない。であれば、考えるべきはその是非というよりは利用方法であり、その点に関して信頼できる技術者が政治に参入する決意をしてくれたというのは、実のところ我が国が得た僥倖なのではないかと、ぼくは考えている。


最初に<彼に投票しようと考えている>ではなく<期待している>と述べたのは、今回の投票の意義について、自分なりに悩んでいるからだ。

①小池氏を再当選させないために、全面的に肯定するわけではないが、現職よりは都民のために為政するであろう蓮舫氏に投票する②おそらくは落選するであろうが、未来への希望を込めて安野氏に投票する。

念のために言っておくと、蓮舫氏の情熱や公約。都政感覚はかなり優れていると思う。世田谷区モデルに基づく企業のホワイト化への働きかけなどはすばらしい。だが、具体性と先見性。そして純粋さにおいて、やはりぼくは安野氏を推したい。

今だに、どちらの態度を採るべきなのか迷っている。投票日までには決めないといけないんですけど。


そういうわけで、都知事選の話はこれでおしまいです。みなさん、選挙に行きましょうね。