僕は自己紹介が嫌い

aryaryagi
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4月だ。新年度である。

今年もやってきやがった、出会いの時宜である。

一般的にそうなのか、創業100年越えの古臭い会社に僕が勤めているからかなのかは知らないが、4月は新入社員がやってくる。総務から配られた新入社員報には彼らの顔、年齢、出身地、出身校、趣味/特技と100文字程度のコメントが載っている。

当然だけど、当たり障りのないことしか載っていない。こんなところで当たり障ることを書くようなリスクを取るなんてことは今の若い人はしないだろうし、リスクを取れる大物なら別の仕事をした方がうまくいくだろう。

実際に会って話もした。先輩社員の話、というコーナーだった。もういい加減そういうのを引っ張り出される歳でもないと思うんだけど…通算4回目。

身分を明かさないで話すわけにもいかないので、僕も渋々名前と所属を伝え、彼らにも一人ひとり名乗ってもらって、所属部署の話をした。

前置きが長くなったが、僕はこういう時にする自己紹介が嫌いだ。気持ちが悪い。結構嫌悪しているし、可能な限りしたくないし、されたくない。

なんでだろう?そりゃ、自己紹介なんてできるほど人は自身のことを知らないし言語化できていないからだ。仮に出来ていたとしても、当たり障りのないこと以外紹介できない状況(なんといっても彼らはさっさと新たな環境でポジションを作らなければいけない)なわけだし。

自身をわかっていない人間、新たな環境に適応しなければいけない(少なくともそのフリはしなければいけない)人間が、自己紹介をしなさいと言われて打ち出す自己ってどんなもんだろう。

嘘とは言わないけど、本心ではない、自分を切り売りする、その人のコアな部分を捨てさせた後の、わかりやすく類型化したような、軽薄な何かなんじゃないのか。本当に自分のことをわかっているのかもあやふやなまま、他人に促されて自己を類型化して。そんなことをしていたら、類型化した自己に自分を乗っ取られてしまうんじゃないか。

多分、だから、自己を紹介して(早く我々に溶け込んで)ね、なんて虚しいと思うし、ひどい暴力のように感じる。

もっと自分を探求して、自分の人生を生きてほしい。人生を舐めないで、些細な違いを型に嵌めて馴らさないで。

そういう人でありたいな~と思うし、そういう人と話すのが面白いよね。