僕の実家にはネコがいる。
茶トラのオス。2017年夏の雨の日に、実家の裏で親猫とはぐれた子猫を、僕の弟が保護した。最初は里親を探したりするのかなーと思っていたけど、一週間も一緒に暮らすうちに家族全員すっかりやられており、以来家に棲んでいる。
名前はキャスバル。実家にはガンダムのオタクしかいない。キャスちゃん、とかキンタマネコとか呼ばれている(去勢する前は立派だったのだ)。
さて、ネコの紹介が終わったところでタイトルを回収しないといけない。この拾ってきたネコにありゃりゃぎさん一家はだいぶ救われた、と僕は思っている。
彼が家にやってきた当時、実家は結構居心地がよくなかった。劇的な何かがあったわけではないが、ちょっと失敗した家庭、とでも言うような‥。まぁ、胸を張って他人に「家族みんな仲良いよ」、という自信は僕にはなかった(他の構成員がどう感じていたかは知らんけど)。
原因はまぁ色々あったとも思うし、ただ僕が労働社会に参加したばかりで擦れていただけかもとも思う。細かい話は一応他人のことなので書かないけどね。とにかく、会話がなかった。あっても楽しくなかった。
そんな家庭があら不思議。1匹猫ちゃんを放り込んだだけで融解していった。
可愛いは正義とか、ネコ様様みたいな単純なことではないだろう。多分だけど、本来(?)、人間だけの集団であれば赤ちゃんがこの融解の発端になるのではないかと思う。新しい命を前に、それを迎える集団として、再編成されていく。
しかしまぁ、猫だからよかったけど、本当に赤ちゃんが融解の発端になっていたら、僕は気持ち悪さを感じたかもしれない。生きて増えよという命令に、無自覚に支配されている気がして。僕らは遺伝子のキャリアでしかない、そんなことを突きつけられる様な気持ちで。
捻くれすぎかな‥