3月30日。誕生日だった。
あまり誕生日が好きではなかった。
子供のころは、春休みの期間だから。なんだか、誰にも知られないでひっそり歳を重ねていく気がして寂しかった。家族は毎年祝ってくれていたけど、多分そういうことではなかったんだろう(贅沢者)。
10代の後半からは、そもそも産まれて、生きていることを祝うということ自体に懐疑的になっていた。ちょこっとだけ勉強をして賢しらだったから、ろくでもない世界で誕生日を祝うなんて、ただの慰めで欺瞞だと思っていた。自分の手に余ることを望んで届かなくて、勝手に不幸ぶっていて、今の不幸を人生全てに投射しているイジイジボーイだった。
振り返ると完全にイタくて面倒くさいやつだ…。
ここ数年はやっとこさ長すぎた思春期を(多分)脱し、普通に祝ってもらうことに幸せを感じているわけですけど。
イタい遠回りをしていた時期に意味はあったのだろうか。多分ある。人生のコクみたいなやつだ。ちょっと雑味がある方が料理も美味い。