フロントエンドエンジニアなんて応募しなければよかったのだ。
ぼんやりと深夜考える。自分がいかにエンジニアに向いていないかを真剣に懇々と。
正直きつい。
脳のワーキングメモリというやつをそれに食い潰されるのはいいことではないしめちゃくちゃに疲れるしどんどん鬱々とした気持ちになってくる。まったくもって健全でないことは確かで、ため息すらも鈍重なまま胸に積もっていく。
そもそもフロントエンドエンジニアに応募したのは「そのほうが通りそうだった」という極めて打算的な理由だ。本当はデザインがやりたいし、はっきり言って私はコードを書くのが嫌いなのである。
いや、書いたものが動くのは嬉しいし、エラーにぶち当たって解決するのも割と好きだ。そしてそれなりに器用にこなせているとも思う。
でも根本的に、私はエンジニアに向いていない。コードを書くことに楽しみを見出せないし、自然とそれをこなせるほど好きではないし、コード書く息抜きにコード書くような感覚も持ち合わせないのだ。
そして何より、コードを書いて作りたいものが私にはない。
そんなことよりも小説を書いてロゴを作って表紙を作って本を作るほうが楽しいしやりたいし好きだ。
つまるところデザインと物を書くのが好きなのだ。コードを書いて何かを作ることよりも何倍も、何倍も。
打算に走るべきではなかったと、いまならわかる。でも、未経験転職という狭き門をくぐるために50を超える会社を受けてそのほとんどを書類で落とされていたあのときはなんかうまいこと滑り込むことのほうが優先されてしまったのだ。
何せそれなりに、コード書くの得意ではあったので。
まあ後悔してももう遅い。なんとかかんとかどうにかこうにかコードは書けているのでぼちぼちでやるしかない。
別に優秀なエンジニアになる必要はないのだから。私はほどほどでいい。
そしてあわよくば、デザインメインで働かせてもらえたら御の字だ。