セールやってた未来日記読んだ。我妻由乃さんの戦いぶりと狂いっぷりがかっこいい。ユッキーの弱弱しさが最後逆転するし、ユッキーの倫理観について指摘するみねねがよかった。
以下は登場人物覚え書き
・我妻由乃(がさいゆの)
このヒロインがいなければなにも始まらない。ナチュラルに人を殺すし、気合いと覚悟が全然違う。そういう意味では雪輝と対極的。
雪輝が生き延びるために我妻由乃を利用していることを察しており、それによって態度も変えずただ雪輝の生存のためだけに動くのがすごい。ただ依存しているだけではなく自分の頭で考えられているのを匂わせる作者も上手いと思った。
↑一番好きなシーン。こんな微笑みながら全盲を利用して殺して「耳がいいね」と自分の勝利を確信した上から目線の一言で、我妻由乃の殺人に対する適性の高さがわかる。暗殺教室の渚くんといい勝負です。
両親が彼女を庇うシーンは、親子関係を上手く出してるなと思った。愛ゆえにひどく当たる→子は歪む→親は愛しているので殺されようとしている子の前に飛び出て庇う。躾の厳しさと愛情が成り立っているという理解がない子供に、そういう親の愛は理解できないので、読者も気付けない。そういう書き方がいいんだ。未来日記はそういうのに隙がない。隠した感情がある。
・天野雪輝
前半は○○もん、と初めて本音を吐露することで彼なりに抗おうとしているが、後半は殺人に躊躇いがない。彼に足りないもの、それは報連相。友達全員殺していく過程は、昇るべき階段を上がっていく感じで彼の存在が上位に昇華されていく感じがあってよかった。
どうにもならなさがあるけれど、どうにもならないわけじゃなかった。
・秋瀬或
「やあ雪輝くん、良い終末だね」が良すぎた。未来日記で一番好きなセリフ。
こいつが一番よくわからない。雪輝を好きだから助けたい、だから由乃を阻止しようとしてずっと後手後手に回っている。秋瀬が雪輝を好きではなくまっとうな動機があれば、もっと効率が良いこともできただろう。窮地に陥る雪輝を助けたくて対処をしていないのでは、と思うこともあった。
周りを利用しようとして、自分から雪輝にアピールせず、対処ばかりをしている。ある意味ヒロインより健気かもしれない。由乃は明確に自分と雪輝が結ばれたかったが、彼は感情だけ与えられたためその先がなかった。
ここまで萌えない男同士のキスはそうそうない。好意はあったんだろうが、雪輝を救うのことに全力しすぎて堕ちることができない。
首を落とされてまで最後見せたのは未来日記じゃない。彼が運命を変えたのは自分の力であって未来日記じゃない。彼は未来日記に振り回されない点は好きだった。
・西島真澄
必殺死亡フラグ芸人。だが公務員がテロリストに求婚しているので全然引けを取らないいかれっぷり。そりゃピンチに陥るよ、そりゃ庇って死ぬよ。みねねに愛を伝えるためだけのキャラ感あって切ない。あそこで結婚指輪を渡すくだり、その後すぐ殺すつもりじゃなければ作者もそういうことはさせないでしょう。
・雨流みねね
一巻で死ななかった時点で絶対最後まで死なないだろう、という確信を持った。そういうのをなくすために最近の漫画はバンバン殺しているが、未来日記はそういうことはしない。結構不憫な立ち位置が続いていくのでそれで死んでないのも中々辛いかもしれない。
・戦場マルコ
まじでこいつが神になってどうするんだ?
彼の言葉で未来日記の流れが変わった。雪輝は被害者側ではなく由乃と同じ加害者側だと明言したことで、雪輝の変貌が納得のいくものとなった。そして彼女のために男を見せるといういい場面で終わっていく。
まじでこいつが神になって世界をどうしたいんだ?
・上下かまど(うえした かまど)
サーバーという捉え方、この時代ならではだなと思った。彼女がまったく悪意なくて良かったね。悪意あったら今頃全世界が未来日記だよ。
雪輝にこの言葉は響いたが、でも殺した。殺されるのを予め分かっていて、死んでいく間際の人間の潔さ。死ぬ直前に泣き喚いたりしないで託していくのが未来日記の一本線の通ったキャラの特徴かもしれない。
・来栖圭吾
よい警官がどんどん本性を表していく、という点で一番怖かった。
これが
こうなる。息子のために彼は鬼になるが、息子がそうならなければいい警官で一生を終えられただろう。彼の覚悟のキメぐあいが好き。
彼との前面衝突は避けられず、彼が前面衝突した結果、彼はこれまで築いた警官という地位と権限を失う。
あそこまでやって失敗して消えていくの、死に逃げ感があって良かった。最後まで息子を心配しながら消えていったが、残された妻と息子のことはどうにもできなかった理不尽さの哀愁があって彼の最後は秋の虚しさのような感じがする。
・聖典
ちらりと出された3rdを組み敷く12thになぜかめちゃくちゃ萌えてた。3は12のことを変人としか思えないんだけど飄々とした彼に何故だか惹かれていき──というBLがどこかに落ちているはずだと確信している。
また思い立ったら付け足しがあるかもしれない。
ヤンデレ代名詞の我妻由乃、彼女に出会えてよかった。この先ヤンデレを書くことがあればお世話になるに違いない。