坂本龍一トリビュート展のチケットを頂いたので見に行ってきました(NTT東日本さんありがとう)ライゾマや現代美術にある程度慣れている私ですら最初は「む、難しい」と思ったので、同行したYMOガチ勢かつアートに興味のない夫はさっぱり分からなかったんじゃないかな。
教授の主に2000年代の音や環境との実験的なかかわりを、彼と親交のあった人が「坂本龍一が生きていたらこういうアートが生まれたのでは」という視点での新作を交えて紹介。私たち夫婦はYMOリアタイ世代ですが、私は細野さん、夫はユキヒロさん寄り。なので晩年の教授の活動や政治的な言動はよくわからなかったのですが、この展示を通して彼が何を感じていたかが見てとれ、なるほどと思いました。
東日本大震災の津波で被災したピアノから、物理的な音だけでなく知覚不能な世界を見ようとしたこと。修復不能となったピアノに最初は「死」を感じたが、次第に「自然によって調律されたピアノ」として捉え直したこと。そのピアノに各国の地震データを演奏させることで地球の鳴動を感知させるメディアとしての転生を試みたこと。このことは特に心に残り、時に過激にも見えていた晩年の彼の環境保護活動の原動力を見た思いでした。
とにかくとっつきにくい現代美術と現代音楽ですが、暫く空間に身を置いていると音(音楽ではなくただ音としか言えないものでした)が身体に染み込んでいく感じがあり、晩年の坂本龍一、彼と交わった世界の人々とその周辺に広がる世界をふんわり身体が理解するという面白い体験をしました。頭ではよくわからないままですが。