ブギウギ第20週「ワテかて必死や」

asanohikari
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 予告でジャングル・ブギの舞台があったのに、いつまでたっても気配がない。金曜日のラスト5分でようやく曲が降ってきていきなり舞台で派手にガオー。この大胆な構成がジャングル・ブギにぴったりで、驚くほど違和感なく効果的だった。音楽のドラマだけあってストーリーも感覚的に理解するようなところがあるから、響かない人には全く響かないであろうとは思う。私は好きだ。

 パンパンガールズの世界も「強く、逞しく、泥臭く、そして艶やかに」スズ子が彼女達を理解し、違和感なく付き合うのもその本質に馴染みがあるからなのかも。決して女性をバカにもお飾りにもしない。泥臭くコテコテで時に目を逸らしたくなるような状況でも根底にある温かい人間愛。この作品は複数脚本家体制が初めて成功した朝ドラとして私の心に残るだろう。

 今週はパンパンガールズとタイ子ちゃんとのエピソードが中心で、みんな意地と誇りで生きている。パンパンガールズには夫を亡くした妻も父を亡くした娘もいるようだ。そこで思い出すのは祖母。私の祖母は姑と五人の子ども(うち1人は乳児=私の母)を抱えて戦争未亡人となった。だから朝ドラで戦争未亡人が出てくるといつも他人事とは思えない。祖母はたまたま進駐軍の仕事を貰えたからパンパンにならずに済んだのかもしれない。実際のところは聞くこともなく祖母は30年以上前に逝ってしまったけれど。

 ラクチョウのおミネは、身体を売って生計を立てている女達のための職業訓練所を作るのが夢だという。スズ子もそれに協力したいと。史実らしい。裏通りで泥水を啜る毎日を送ってきた女たちが、いつかひなたの道を歩くのだという希望と、いまだままならない彼女たちの現実をぶち壊すようなガオーで終わった良い週だった。