第4回受賞者のサエボーグと津田道子の展示、小規模だけど無料ということで久しぶりにMOTに行ってきました。
サエボーグさんの展示は2部屋。まずラテックス製のウンチ💩とハエ🪰の世界、そこからゲートをくぐってサエドッグの展示スペースへ。広いフロアの真ん中に横たわるサエドッグ🐕涙を流しています。右半身はきれいだけど、左半身はところどころ皮膚病のようでハゲが見えます。人を見かけるとヨロヨロと動き、近づいてお手をして、お鼻でキスをしてくれます。撫でるとふわふわ。なぜならラテックスでできた、空気で膨らませたワンワンだから。自転車のタイヤのような空気入れの穴があちこちにあり、恐らく胸のあたりから中の人が世界を見て、犬らしく動いています。
ペットという進化に反して人の愛の中でしか生きられない命を、ポップかつ哀れに表現しているようですが、私は愛しか感じませんでした。子どもたちに動画を見せるとキモいという反応でしたが、私にはそこにいるだけで可愛いかった。サエドッグが私に近づいてくるのは媚びではなく愛。そう思うのは私が犬飼いだからかもしれません。彼らは疑うことをせず、自分の体調が悪くとも側にいる人間の方を気遣ってくれます。そこに打算はありません。だから一緒にいて癒される。犬も人に撫でられることで幸せホルモンが放出されるらしいけど、サエドッグの中の人は、犬としてラテックス越しに人と接することで果たして癒されるのだろうか、そんなことを考えました。
津田道子さんは映像のインスタレーション。一番面白かったのは、ご自身が幼い頃の家庭用ビデオテープで録画されたダイニングでの他愛のない家族のひとこまを、俳優を使って、その役割を変えながら何パターンも撮影し同時に流す。ただそれだけのことに、人の営みの儚さやおかしみが溢れるようで、泣き笑いの世界でした。
そのあと美術館から滝沢馬琴の生誕地へてくてく。お天気も良く楽しい下町散歩となりました。