まひろも道長も少しずつ政治的な動きを身につけ始め、一方でピュアな少年少女の初恋は徐々に燃え上がり、このアンビバレントな状況にどのような道筋で決着をつけるのか(史実を知っていても)全く見当がつきません。ただ結果が出た時には、恐らく見ている私までとんでもなく苦しい気持ちになるのでしょう。
紫式部と清少納言の出会いもありました。男性の前でも知識でマウント取ろうとする清少納言、やんごとなきサロンで当時の女性の振舞いを学び、父や道長や直秀を通して徐々に社会を理解し動けるようになってきたまひろ。まひろは頭が良く理解が早いから、それが今後の自分自身を自由にも、苦しくもするのかなと思います。
「おかしきことこそ、めでたけれ」庶民も貴族のお姫様も面白い事を求めています。笑いの種類と目的は少し違うようだけれど、まひろは初めて「で、オチは?」という世界を知りました。作家への道を着々と進んでいます。
誰もが家を背負って自分を最大限活かして一族のために戦っている。そのドロドロの政治劇と、ピュアな初恋と、恐らくその狭間に現れるまひろの物書きへの道。登場人物が多く似たような名前で布石も多いのに、話がちっとも散らかってない。誰しもどこかに焦点を当て楽しめるドラマな気がします。
ちょっとここまでハマると思わなかった今回の大河。大石静脚本は面白い時にはすごく面白いが(ふたりっ子とか)、ロマンチックな恋愛に寄りすぎると途端に苦手になるのが常。しかし今回ここまでに平安の階級や権力闘争を丁寧に見せてくれたせいか、装束のせいか、はたまたスカーレットチームのマジックなのか、ロマンチックの波に飲まれて揉まれて心地よく翻弄されています。
私のように知識や教養がなくても楽しめるということは、たぶんお子さんや若い方にもわかりやすいはず。漢詩や和歌も直感的に現代人の心に届くものを選んでいる印象。昔の娯楽大河のような趣きがあります。これが初大河でハマったお子さんなんかは正統派オタクとしてスクスクお育ちになりそう。私たち世代が古典を知らずに「あさきゆめみし」を読んで、その後の受験勉強でずいぶん助けられたように。昔取った杵柄と言いたいところですが、古典も漫画もすっかり忘れてしまってるので読み直さなきゃね。