Filmarksから転載
2024/1/1 鑑賞
[あらすじ]
敵国で偽装家族を形成しながらスパイ活動を行う≪黄昏≫ことロイド・フォージャーは、突然作戦の担当交代を告げられる。
ちょうどその頃、娘のアーニャの学校で「星(ステラ)」に係る調理実習が行われることになる。
首尾よくステラを獲得すれば作戦の続投を申請できると踏んだロイドは、審査員である学校長の好物を作ることを提案し、学校長の好物である「メレメレ」を求めて家族で旅行に出かけることにする。
だか、乗り込んだ列車の中で、アーニャが手違いから他人のチョコレートを食べてしまう。
そして訪れたレストランでも不穏な軍人と遭遇し、家族旅行は思わぬ方向へと向かう。
いやすごかった。
ストーリー展開から、演出の仕方から、伏線の張り方から回収まで見事すぎた。
「ファミリー映画」という軸は失わず、その中にラブコメ要素と、ギャグ要素をきちんと入れている。
これだけ色々な要素があるし、家族全員秘密があるっていう基本設定があるしで、どこかで破綻、もしくは誰かが(ストーリー展開的に)置いてきぼりになる感は否めないかなと思ってましたが、全然そんなこともなくきちんとそれぞれに見せ場があり、それがストーリーにもちゃんと絡んでいました。
ストーリーの構成がとにかくすごい。
私がオタクのロイヨル民てこともあるのでしょうが、特に口紅の伏線がすごく綿密だなと感心しちゃった。
・ヨルさんがロイドさんの浮気を疑う(余計な知識を仕入れる)(伏線1)
・ヨルさん一人でギクシャクする→旅行を楽しめない(伏線2)
・口紅が合わないといい、ロイドさんから逃げる(伏線3)
・ロイドさんから口紅をプレゼントされる(伏線3の回収)(伏線4)
・やけ酒して倒れる→全体的な旅行行程の時間が無くなる(伏線5)
・ふたりで観覧車→ロイドさんから真摯な告白(伏線1・2の回収)
・ロイドさん、食材集めにひとりで行動せざるを得なくなる(伏瀬5の回収)
・ヨルさん激闘の末口紅を使って倒す(伏線4の回収)
特に口紅の展開と回収がよかった。
お互いに秘密を抱えたご家族に相応しく……といってはなんですが、せっかくの旅行なのに「旅行だけに集中できない事情」を全員に持たせるっていう理由付けがね。
ストーリーにきちんと絡んでいて、かつ不自然じゃないので「おおお~」と思ってしまった。
・ロイドさん→梟の存続危機
・ヨルさん→ロイドさんの浮気を疑う
・アーニャ→軍人に追われる。
これでお互い、自分の行動に制限が出て、かみ合わなくなって、家族一緒にはいられない……ということで個々が行動する必要性(理由)を与えて、でもそれぞれの行動が少しずつ重なっているので「離れていてもどこかで繋がっている=家族」という印象は損なわない。
そしてラストに全員で協力して危機を脱出する……という展開が。
いやーバランスと調和がほんっとすごかったです。
見ていて気持ちが良いし、最後うるっとも来ちゃいました。
中村倫也さんと賀来賢人さんも流石だなと思いましたし、まだ色々ありますが、とりあえず初見の感想です。
本当に楽しかった!また見たい!