Twitterは独り言をつぶやくために生まれたんじゃない

TwitterのTweetを「つぶやき」と訳すのは誤訳だし違和感があるとずっと思っていた。

でも、さすがにもう慣れたし、結果として日本にTwitterを定着させた見事な翻訳だったと認めざるを得ない。Facebookの「Like」→「いいね!」とともに日本のネット史に残る名翻訳と言えるだろう。

しかし、Twitterはもともと独り言のためのツールと言われると、それは違うと反論したくなる。

Twitterは本来独り言をつぶやくために生まれたサービスだった。愛称ではなく、正式名称が本当に「Twitter」だった頃だ。けれど今では、独り言とは真逆の、正しくて、意味があって、衆目を集める主張を、大きな声で叫ぶ人ばかりいて、

以前紹介した、芥川賞を受賞した九段理江の「東京都同情塔」からの引用。いいこと言ってる感はある文章だけど、「独り言をつぶやくために生まれたサービス」はさすがに「つぶやき」という言葉に引っ張られての事実誤認だ。Twitter創業者は「独り言をつぶやくため」なんて言ってない。

Twitterが日本で話題になってきたときに、「渋谷なう」みたいに自分の状況を「つぶやく」ことが新しいことと喧伝された。でもこれを「独り言」と捉えるのは間違いで、チャットツールなどでの「会議中」「離席中」のような「ステータス」を通知したものと理解すべきだ。

tweetは小鳥がさえずる、チッチッと鳴くという意味の動詞、さえずりという名詞。さえずりは独り言というよりコミュニケーションのためと考えるのが自然だろう。

@ashikaga
デジタル活用のポッドキャスト「アシカガCAST」をやっています。ふだんはデジタルツール/Webサービス/アプリの使い方などの情報発信をしています。 @ashikagacast