父が夜、録画していた朝ドラを見ていた。
流れていればうっすらと見る程度で内容は分からないが、女性初の弁護士のお話ということだけは知っている。
その日たまたま目にしたのは、勉強をしている女性たちの元に男性2人(恐らく刑事)が乗り込んでくるというシーンだった。
大声で高圧的で、女性を軽視しているのがありありと伝わるようなシーンだった。「そんな言い方しなくたっていいのに」と思った瞬間、涙が込み上げてきて、これはまずいと思って慌てて部屋に戻った。
実際、当時は今よりも男尊女卑が根強い時代だったからそのような描写があるのは後からちゃんと理解したが、その時は理解する前に反射的に涙が出てきた。
昔からこういうことが多々ある。状況や意味を理解する前に、言葉や態度によって涙が引き上げられて、考えることをシャットアウトしてしまう。冷静になって考える前に、また同じことが起こる恐怖が勝って、それ以上動けなくなってしまう。
特にドラマを見ているとよくある反応で、一度起こってしまうと物語を純粋に楽しめなくなって、最後まで完走出来ないことが多い。そうすると「また最後まで見れなかった」と別の自己嫌悪を引き起こしたりもする。
自分に言われているわけではないと頭では分かっているはずなのだが、たとえフィクションでも鋭い言葉や態度にいつまで経っても耐性がつかない。耐性はつかなくてもいいのか?……いや、多少はないと、泣いたあと何も考えたくなくて、どんどん脆くなる気がする。
耐性ってどうやってつけるんだろう。やはり浴び続けるしかないのだろうか。難しい。誰か教えてほしい。