キ上の空論『幾度の群青に溺れ』を観劇した時の備忘録
ストーリー
主人公の青年は不眠症に悩んでいた。ある日駅のホームで自殺を図ろうとするミステリアスな女性を助け、意気投合する。
気を許した青年が不眠症について相談すると、女性は「ぐっすり眠れる水がある」と青年にそれを渡し…という話から始まる。
キャスト
名塚佳織さん(声優)のファンで、名塚さんが舞台に出られるというのをTwitterでたまたまお見かけしたから今作を見に行った。
そうしたら村田充さんとかも出演してて、めちゃくちゃビビった。友達とかが好きな有名な俳優さんだ…(にわかすぎる) ペダミュ以来の村田さんだから久しぶりに高身長に驚いたけど、配役的にも浮世離れしてる感じが出せる稀有な人だったと思う。よく悪役に抜擢される城田優みたいな感じ
演出
木の枠で作られた3つの舞台セットが家の中に見えたり、電車の中に見えたりして不思議だった。演劇の演出とはそういうものだ、演技力によるものだといわれればそうなんだろうけど、それにしても不思議な組み方だったなと思う。
ほぼ木の枠じゃんと思ってたのに、終盤の事件のシーンでは被害にあった車両をいろんな画角から見せられて、悪夢みたいだった。シャボン玉が飛ばされていて、あんなに具合の悪くなるシャボン玉あとにも先にもないなと思った。
中盤に何回かある尊師の性加害のシーン。
コミカルな応酬だし、笑えるテンポなのはキャストのスキルあってのものだったと思う。でも「修行だから」で丸め込まれて体の関係をもつことになって…って本当にあの宗教にもあった話なわけで。(ダーキニー) 結果的に尊師のハーレムに加わることになって、尊師の身の回りが固まっていく様が全然笑えなくて終始ゾッとした。テロのシーンと同じくらい恐ろしかった。私が女だから、あの子たちと同じ性別だから、そういう不快さを掻き立てられたって話なのかもしれない。というかあれで笑える人たちってどんな気持ちで見てたんでしょうか。純粋に気になるよ
演技
きんちゃんの柔らかな笑顔がとても印象的で、だからこそテロ事件に巻き込まれて被害者になったシーンで息を呑んでしまった。苦しかった、絶対にこういう子は害されないでほしい(害されないであろ)という観客の心情をゴリッゴリに裏切ってきて辛かった。
最後の、同窓生が集まって決定的にすれ違うシーン。息ができなかった。私も打ち切りを笑っていたわけではないけど、ドンマイ…ぐらいの軽い気持ちで見ていた側だから、言葉が突き刺さった。どちらも間違ってない、どちらも無遠慮で無配慮だった、と言うしかない…
総括
帰りに関連書籍買いたくなる、紀伊國屋ホールでやる題材すぎると思った。これが本多劇場でも同じこと言ってる気がします
キ上の空論の脚本の凄みを感じ、リスペクトするようになったので、これ以降の作品は絶対1回は見るようになった。そのぐらい衝撃的でずっと頭に残っている