見慣れた光景をいつもと違う角度から眺めたような感覚

asylum_piece
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アンナ・カヴァン『氷』を読む。『アサイラム・ピース』は短編集だったけれど、こちらは長編。

氷に閉じ込められつつある世界で、主人公は、かつて生活をともにしていた人を追い掛ける。厚い雲に覆われた灰色の空、冷たい空気、ひとりの美しい人。世界の終わりが近いけれど、こんな日々なら続いてもいいかも、と思わせる不思議な心地よさ。

ピンチョン、チャペック、ギャリコ。巻末の作品リストを眺めて、ちくま文庫はセンスがいいなと思う。