父が癌を宣告された。
忘れっぽくなり、歩行も杖をついてやっとの状態で。お気に入りの足ツボ健康器を携え帰省し、足裏を刺激し激痛に悶えさせると急にサクサク歩けるようになり、モモの筋肉がほとんど無くなっていると聞いたらブルガリアンスクワットも教えると、今度は大股で歩けるようになって、奇跡が起きたと喜んでいた矢先の、突然の宣告だった。
好き放題酒タバコをやって来たし、長く生きて来た。これも天命かなと思っていた中、胃を全摘出した後、1週間も経たず退院した。癌のステージは末期の4だった。
もう会える回数も残りわずかかと一昨日から秋田に帰省してみると、肌艶良く、夜にはモリモリお粥と一緒に僕と同じおかずを摘んでいた。
よし、ならば、癌だと知る前に次に教えようと思っていた新しい健康法を予定通り叩き込もうと、70年以上続けていたガニ股を捨てさせ、正しい歩行法と足裏でのバランスの取り方、足指マッサージ、股関節のストレッチを教え込んだ所、背筋がピンと伸び、歩行がさらに滑らかに。トイレが最近近いから尿瓶が欲しいと言っていたのを、トイレに行かなくなったら犬畜生以下だぞと却下していたが、次の日には頻尿も止まり尿瓶自体必要無くなった。
もう10年は生きそうだ。僕は2泊3日の手応えを手土産に、東京に戻った。