短歌 習作8首

 

常識と謂ふ矛恐れ生きる癖常識と謂ふ盾振り翳す

報はれぬ恋の歌聞きし数だけ識つた気になる愛のすべてを

終点の新宿駅で目が覚める此処で死にたひと思つたから

掌を較べし晩夏敵はずにY染色体を怨む少し

偶像に、君に、子宮在ることも知らぬ拾五の僕とその罪

桜のもとに埋まると謂ふ死体こそ我と思ひし浅き自惚れ

手折られし百花の王を憐れめど孰れは咲きぬ我は夜顔

沈みゆく泥舟のやうに大海彷徨へど未だ砲手は死せず