あとがきというか振り返り

 

あんまり自分が書いた話のことを書くのは得意じゃないんですけど(なんかどれも本髄から外れている気がするから)ちゃんと覚えておきたいし自分で書いたものくらい説明できるようになりたいなと思うので、練習として書いていこうと思います。

  

晩年

 

タイトルがもう全てという感じですね。全くを持ってその通りです。

今回はフォロワーさんの後押しもあり、結構ゴリゴリしてる文体で書き進めていきました。最近はなにかと一人称とか柔らかめの文体で書きまくっていて書けるか不安でしたが、割となんとかなりました。よかった。

何を書いても最後にはここを本領とし続けていたいですけど、まず現時点で本領なのかはわかりません。二次創作でやることではないのかもしれないけども。

 

この話については普通に書いたやつと差分版があり、普通に書いたほうを先に上げはしたんですけども、実は因果が逆で加筆差分が元です。流石にだめかも!と思って該当シーンを削ってなんかええ感じにつなげたほうが普通に書いた方です。というわけで話の完成度としては加筆差分のほうが上手く出来てるかな〜と思ってますね。

初めは短歌を作るかと意気込んでたんですが、「寒暁の滝壺に花を手向ける」という上の句で止まってしまったわけです。そうか、下の句14音も埋められないくらいに彼の苦しみの全てを知らんのだ、となってしまったという経緯がありまして……。そのまま上の句をタイトルにしてもいいかも〜と思ってたけどちょっと恥ずかしかったので、いつも通り簡潔にまとめました。

というわけで話を考えようにも、私はこれまで極に0とやってきたわけなのですが、1995年以降の彼には結構隙がなくて、話を書こうにもどういう人物像にしようか結構悩みました。一回決まったら割と話の構想はすんなりできましたかね。

 

これは個人的な趣味の話なんですが、死地に赴く男がその直前あたりに女を抱くっていうのがものすご〜く好きなんですよね……。もうこれは中学時代に司馬遼太郎を読んで以来ずっとある趣味だと思います。まあ今まで生命のやり取りをするようなジャンルでものを書いたことがなかったので、この趣味を面前に出すことはなかったのために趣味ずっと長い事隠し持ってたわけです。

物凄く現実的な話をすると「自分が子供を生もうと思えば生めるんだな〜」と考えるだけで清水の舞台からでも新小岩のホームからでもどこからでも飛び降りてやりたくなる心地がしますが、それはそれとしてこういう命張るぞという局面で「俺の子供を生んでくれ」(に類する台詞ならなんでもいいのだけれど)とか言ってくる男って、生き物って如何にも本能が剥き出しで、繕う余裕すらないんだろうなというところが大変可愛らしいですよね。

現実考えたら無責任といえば超無責任なんだけど、死ぬかも知れないって瀬戸際の時に「俺の子供を生んでくれ」って言う、全てにおいて極限で生命が介在している感じがたまらなく好きなわけです。まあ、飽食の世でそんなこと言われたところで響かないし、無性生殖しろとしか思いませんがね、わはは。

兎角、私は忘れ形見みたいな概念が結構好きなのかもしれません。

これだけズラズラ書いておきながら、今回はそれが言えなかった男の話なのだけども!(故に余計けしからん男っぽくなってしまって削ったわけですが)まあちょっとけしからん男にし過ぎたかなと思いつつも、彼が生来持ち合わせていたであろう臆病さとか繊細さ危うさ、あと人間誰しも持ちうる狡さ弱さみたいなものを著せたのでは、と信じてます。

(これは補足ですが、27歳時点で運命が狂ったとしてそれまでに大体の人格形成って済んでるのでは、と考えると割と平時であれば本来の朗らかさとかを覗かせていたんじゃないかなと思うんですよね。あの境遇があったからといって別にいつでも鬼の顔をしていなくてはならんわけではないのですしね。かといってそこを全面的に肯定してるわけではなく、逆も言えてああなる萌芽というのは彼のうちにずっと眠っていたのだと思います)

 

あとラストシーンですね。そもそも出発点が「喪服のような服を着て、翌日の朝に事件現場へ献花に行きたい、そういう女を書きたい」という感じだったんですね。そこから人物像とか諸々逆算して肉付けしていった感じです。

ついでに散々色んなところで彼は誰にも名前で呼ばれてないよねと言及されていたので最後の台詞というか呼び方はああしました。

 

実はこの設定で書こうと思えば10倍とは言わずもがな、5倍くらいの長さにはできるんじゃないかというくらいの構想があるんですけど、書ける自信もないのでラストシーンを前面に持ってきて設定要約のような話の作りにしました。割とその目論見は成功したと思いたい、思いたいぞ〜!

まあ気が向いたら断片的になにか書くかもね。

予想以上に長くなったのでいい加減終わりにします。おわり。