オモコロ編集長 原宿 とイラストレーター兼漫画家の 室木おすしの2人によるラジオ
『ありっちゃありスパーク 梵』の#61
(https://youtu.be/HCFY8qkBlCI?si=_C2M-h_NMgZL21SA)にて紹介されていたのが『アイアンクロー』である。原宿さんのススめ方が本当に上手でとても気になった。
本日時間があるしタイミング的にも良かったからシネマQにてその映画を見た。映画のあらすじは表題であるアイアンクローという技で有名なフォン・エリック一家はアメリカのプロレス史に名を刻みつつ｢呪われた一家｣と呼ばれるようになる。その背景に迫った、実話を元にした伝記映画。 という訳です。
主な登場人物
父 フリッツ 母ドリス
4兄弟は上から ケビン デビット ケリー マイク
ここからネタバレある！！！！！！！しかも全然まとまってない
そしてケビンの嫁 パム
強さで成り上がったフリッツ(父)が自分がそれで成功したように息子達にもそのイズムやプロレスをすることを強要するのが主な流れ。
ケビンとデビッドは元からプロレスをしてたから良かったがケリーとマイクは父が言うからやった雰囲気でその時点で少し怖かった。
この両親の怖いところは、兄弟内で起きた問題には介入せず基本兄弟内で解決させるのに子供らの未来は当たり前のように自分達で指図するところである。 その矛盾である。 親だって人なんだから未熟な部分があるのは分かるが、ここら辺に関してはそういうことじゃない気がする。 別に父は暴力を振るうような人では無いから恐怖政治という訳じゃないのに、その圧があったのは凄まじい。
最終この映画はケビン以外の兄弟はみんな両親より先に亡くなる。それが呪われた一家と呼ばれる所以である。それぞれの死に方があるため調べてみて欲しい。 優劣とかではなくマイクの死が個人的に1番辛かった。 本来人は必ずしも強くなきゃいけない訳では無いのに育てられ方が｢最強主義｣だから辛さが生じてしまっててそれが見ててキツかった。背負いきれない期待はいつか身を滅ぼすことになるのだなと思った。
ラジオにておすしさんが｢逃げることで得手不得手やできる出来ないがわかり柔軟性が鍛えられる｣という内容のことを仰っていてまさにその通りだしその考えがこの兄弟の中にもあったらどうなったんだろうと何度も思った。
ただ難しいのは最強主義 だけ なのが悪い(生きづらさをうむ)のであってその主義自体は全然あった方がいいという点。勝負強い方が何かと上手く行きやすいからフリッツの教えも全部が悪い訳では無い。
マイクのことばっかり考えてしまう。 父親譲りで音楽好きなはずなのに父親からの当たりが誰よりも強く、いざプロレスを始め軌道にのると運悪くケガで障害を背負いそんな中でも亡き兄デビットの影を重ねられる。その辛さに耐えきれず自ら死を選ぶ。有り得る限り最悪の選択が選ばれていったから自分にも無い話では無いなと感じた。
映画の最後まで両親に直接不幸が起こってないから考え方が変わらなかったんだろうな。 それもあって、本当は兄弟同士で向き合う以上に兄弟と両親が向き合わないといけなかったはずなのに最後ケリーが自殺した時にしかそのチャンスが無かったのが悲しかった。やはり何か起きてからじゃ遅いのに起こらないと気づかないんだな。
ケビンが生き延びた要因は分かりやすく奥さんであるパムだと思う。あの一家の異質さに気づくけど敵対するわけではなく寄り添う時は寄り添うその器用さと元からある自信がケビンの支えや吐き口になっていたんだろうな。
ここからは自分語りになる。うちの家族は祖父の代から家族でお寿司屋さんを経営してて父はそれを継いで寿司職人として過ごしていて、順当に行けば兄弟唯一の男である自分に継がせるはずなのに｢大変すぎるから｣という理由で絶対に継がせないと言っていた。 もともとナマモノが苦手で継ごうと思って無かったから不思議に思わなかったが、自分が継ごうとしても継がせない気でいたと聞いた時は驚いた。 自分の性格を配慮した以上に、父親は夢を諦めて継ぐことになったから自分にそうさせたくなかったらしい。 そんなお店は地域から愛されながらも昨年店じまいをした。父のエピソードを聞くとフリッツは近くに居たんだと思ってしまった。それでも第二のフリッツになることなく自分に自由を与えてくれた両親には感謝の気持ちしかない。
こういう自分と重なるところが少しあったためこの映画に対する思い入れは強くなった。
強さと弱さは表裏一体で、強いから出る弱さも弱いから出せる強さもあるからどっちも大事にしながら生きてたいとさらに思うようになるきっかけの映画『アイアンクロー』。ありがとうございました。
