現役の時は、多い時で同時に15機近く管制してました。怖くなかったのかといえば、正直怖かったです。だって1機1機には数多くの乗客がいるのだから。怖いと思うのは普通のこと。管制上手なベテランでも怖いと言っていたのが印象的でした。怖いと思わなくなったら管制官は失格だと私は思います。
15機いてどうして怖かったのでしょうか?おそらく自身の能力を超えているから怖いと感じられたのだと思います。しかしシーケンスに乱れが生じたりすることはあっても衝突には繋がらないでしょう、最悪 TCAS があるので。
逆に言えば 3, 4 機のときに怖いと感じるでしょうか?「怖いと思わなくなったら管制官は失格」という主張が真なら、多くの管制官は失格でしょう。この文章は「私は 15 機ぐらいまでしか扱えない」以上のことは主張していません。自己を正当化しているに過ぎません。
一方で「怖い」に埋もれてしまうことは、よくないことだとわたしは思っています。「怖い」に埋もれないようにひとつひとつ「怖い」を明確にしていくことが大切だと個人的に思っています。
衝突につながる可能性はレーダーの場合は以下のとおりです。TCAS の存在を前提にすれば意外に多くないとわたしは思っています。
訓練空域・演習空域への誤進入
MVA 以下での誘導
未知のできごと(日本航空機駿河湾上空ニアミス事故のような状況)
3 を常に意識しそのような状況を探し続けることが、安全に対する態度として大切なのかなと私は個人的に思っています。